社内の摩擦は動物タイプで見えてくる②
~オフィスはサファリパーク!? 天真爛漫、憎みきれないサル型社員!?
「うるさいけど、ムードメーカー」「話は面白いけど、長い」「で、結論は?」
――こんな言葉、オフィスで耳にしたことはありませんか?
今回のコラムは、前回記事「社内の摩擦は動物タイプで見えてくる①」の続編。
社内に潜む“動物たち”――今回はその中でも特に賑やかで、人を巻き込む力を持った「サル型」社員について掘り下げてみましょう。
サル型社員の特徴:「楽しい」が原動力
サル型の特徴は、「ワクワク」「ノリ」「自由」「表現力」。
組織の中で「面白さ」や「楽しさ」を大切にし、周囲を巻き込む力に長けています。飲み会では中心人物、会議ではアイデアを次々と出し、空気を柔らかくしてくれる貴重な存在です。
ある企業のケースでは、新規事業プロジェクトにサル型社員を巻き込んだところ、当初沈滞気味だったチームが一気に活性化。アイデアが溢れ、笑顔が増え、結果的にプロジェクトのスピードも上がったとのこと。
しかし一方で――
・結論が見えにくい
・感情で動く
・予定外の行動が多い
・細部への詰めが甘い
といった「理詰め派」や「慎重派」から見ると、少々“扱いにくい”存在にも映ります。
サル型の“天敵”はキツネ型
社内の摩擦が起きやすいのは、サル型とキツネ型(アナリティカルタイプ)の組み合わせです。
キツネ型は「論理」「根拠」「慎重さ」を大切にする思考派。行動よりも計画、感情よりも事実を重視します。
たとえば――
□サル型が「面白そうだからやってみようよ!」と提案しても、キツネ型は「その根拠は?」「成功する見通しは?」と冷静にブレーキをかけます。
□サル型が話すエモーショナルなストーリーに対し、キツネ型は「で、何が言いたいの?」と受け止めがち。
このようなすれ違いが、感情の行き違いとなり、時に“個人的な摩擦”に発展してしまうのです。
他の動物との関係性:ライオンやヒツジとはどう違う?
サル型がぶつかりやすいのはキツネ型だけではありません。たとえば――
* ライオン型(ドライバー):結果重視の実行派。サル型の“ノリ”を軽んじる傾向あり。
* ヒツジ型(エミアブル):協調性を重視するため、サル型の“空気を読まない発言”に戸惑うことも。
一方で、サル型のポジティブさは、ヒツジ型には癒しを与え、ライオン型には刺激を与える存在にもなり得ます。
サル型との関わり方:マネジメントのヒント
サル型には「楽しさ」が最大のモチベーション源です。
したがって、
* 楽しい未来を描いてあげる
* 大枠を示して、自由裁量を持たせる
* 感情を込めて共感的にフィードバックする
といった工夫が効果的です。
逆に、「細かい指示」「ロジック重視」「結論だけを求める」関わり方では、サル型の魅力は活きません。
「違い」を前提とした組織づくりを
ここで重要なのは、「どのタイプが正しい」という話ではない、ということ。
サル型の明るさと柔軟性は、組織に活力を与え、変化への適応力を高めます。
キツネ型の論理性と慎重さは、組織を堅実に守り、リスクを最小化します。
組織が真に強くなるためには、こうした異なるタイプが共存し、補い合う設計が必要です。
ソリューション:タイプ理解から始まるチーム活性化
私が提供する組織コンサルティングでは、こうした“ソーシャルスタイル理論”をベースに、組織内のタイプ理解を促進するワークショップや研修を行っています。
「なぜあの人と合わないのか?」
「どうして、話がかみ合わないのか?」
その“モヤモヤ”を動物タイプで可視化することで、メンバー同士が互いの違いを尊重しやすくなるのです。
サル型が悪いわけでも、キツネ型が冷たいわけでもない。
違いを理解すれば、そこに“対立”ではなく“役割分担”が見えてくるはずです。
まとめ:オフィスはサファリパーク
あなたの組織にもきっといるはずです。
アイデア豊富で、おしゃべり好きで、ちょっと落ち着きのない――サル型のあの人。
その人が活きる組織は、きっとイキイキとした風土を持っているはずです。
“動物園的組織論”、あなたの会社でも活用してみませんか?