社内の摩擦は動物タイプで見えてくる③
~オフィスはサファリパーク!? 怒鳴る上司が大嫌い! 沈黙する羊たちのホンネとは!?~
「また若手が辞めたんですよ。最近の子は打たれ弱いのかな…」
ある経営者のそんなつぶやきを耳にしたとき、ふと違和感を覚えました。確かに、最近の職場では「すぐ辞める」「言われたことしかしない」「自分で考えない」といった若手社員への評価を耳にすることが多くなっています。しかし、その背景には“性格タイプの違い”によるすれ違いが潜んでいることに気づいている方は、そう多くありません。
前回に引き続き、「ソーシャル・スタイル」にみる仕事にスタイルから、組織を紐解いていきます。
中でも「羊タイプ」と呼ばれる穏健派の社員たちは、いま多くの職場で声を失いがちです。
羊タイプ社員の特徴とは?
羊タイプの社員は、争いごとを避け、調和を重んじる傾向があります。与えられた仕事には真面目に取り組み、周囲への気配りも忘れません。一見すると問題のない社員ですが、その内面には「怒られるのが怖い」「対立するのが苦手」「ちゃんとやっているのに評価されない」といった悩みを抱えていることが多いのです。
摩擦を生むのは“ライオン型上司”との相性
このような社員が特に苦手とするのが「ライオンタイプ」の上司です。ライオンタイプは、結果やスピードを重視し、物事をはっきりと指示します。企業の立ち上げ期には頼れる存在ですが、その強さがときに“威圧”として受け止められてしまうのです。結果、羊タイプは萎縮し、さらに発言や行動を控えるようになります。こうした構造が、職場内の見えない摩擦を生み出しているのです。
“沈黙のサイン”を見逃さないために
実際の現場で、こんなことがありました。ある若手社員が、ある日を境に急に無断欠勤をするようになりました。上司は「やる気がない」「根性が足りない」と叱責を繰り返していましたが、後になってわかったのは、その社員が「上司が怖くて、何も言えなくなってしまった」と感じていたという事実です。
「情けない奴だ!」「言い返せばいいだろ!」と考える人もいるかもしれませんが、そのようにできない人がいるのも会社組織。もし羊タイプの性格的特徴を理解していれば、こうした事態は避けられたかもしれません。
羊タイプを動かすための3つの視点
私たち組織コンサルタントは、こうしたタイプ間の摩擦に対して「性格タイプに応じた働きかけ」を提案しています。特に羊タイプの社員には、「いつもありがとう」といった感謝の言葉や、「サポートするから一緒にやってみようか?」といった共感を込めた声かけが効果的です。指示や命令よりも、「味方であること」を示す対話が、彼らを前向きに動かすきっかけになります。
また、組織運営の観点からも、羊タイプが安心して力を発揮できる環境を整えることが重要です。たとえば、大勢の前での発言を求めるよりも、少人数での対話や、サポートに特化した役割を与えることで、彼らの持ち味を活かすことができます。
多様な性格を活かす組織へ
「黙っている=やる気がない」わけではありません。羊タイプは、安心できる環境さえあれば、大きな力を発揮できる存在です。声が小さくても、組織を支える“縁の下の力持ち”なのです。
タイプの違いによる摩擦は、見方を変えれば組織の多様性でもあります。大切なのは、その違いを理解し、活かすマネジメントです。
いま、あなたの周りで「動かない部下」に見えているその社員も、実は“認めてほしい羊”なのかもしれません。
もし、こうしたタイプ別の対応に課題を感じていらっしゃるようであれば、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、性格タイプ診断に基づいた組織支援プログラムを提供しています。
“沈黙する社員”の本音に耳を傾け、働きやすい職場づくりを一緒に進めていきましょう。


